「昔、冷えた君の掌を温めた記憶がある」
ここではない何処かの話を滔々と語る彼の言葉に
安堵と郷愁が胸の奥で疼いた
「淋しくはなかった?」
「…まず誰よりも先に君に会いたいと願った、その後……そう思ったよ」
引き寄せられ、手に触れられる熱は温かくて今の僕にはそれを拒む理由も強さもなかった
「君のほうが淋しかっただろう……幼馴染が傍にながらも彼らには記憶が無いというのは」
「そうだね、でも……今を生きるのだったら彼らには昔の僕の記憶(おもいで)は、もう必要ないよ」
「残酷で優しいままだ、それを彼らに向ける日が来るとは当時の私が聞いたら驚きそうだ」
「だから君も僕に……」
再び縛られる理由はないと言おうとして、抱きしめられて言葉が止まった
「言っただろう?会いたかった…逢いたかったと、君が好きだよ」
「灼熱…」
「構わないさ、緩やかに過ごせる時間はこれから、まだあるのだから」
耳元で囁かれた、彼の個名。紛れもなくあの頃からの彼なのだと思いしり
抱きしめる熱を受け入れた
「君も変わらないね」
時が巡り砕けた記憶は世界を巡り
残ってしまった記憶もまた世界を渡る
深々と六花の舞だけが全てに等しく降りそそがれていた。
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前に描いた灼熱騎士とキングⅡ世とつながりのある感じになり
イラスト描きました~
現時点では、灼熱とキングⅡ世以外記憶が無い感じで書きました
最後まで読んでいただきありがとうございました~~。