淡い黄昏の空から深い色合いに空は色彩を変容させ
空の輝きとは異なる地上の人々が営む窓から零れる穏やかな灯りも眠る
星々が瞬く深い色彩が夜の頃合い
灼熱騎士とキングⅡ世は城の最上階の城壁から共に空を見上げていた
互いの吐く息は白く沈黙が場を支配していた、だが灼熱騎士の思考はJr達にに対して
説教を高速で考えていた
(………今回の立案者はエースだろうな)
本日分の仕事と明日の段取りが概ね片付き、息抜きへと外へ空気を吸いに出寄ろうと考えた
今日は流星が見れるかもしれないからと
Jr達が熱心に、この時間帯にこの場所が見やすいと進めてくれていたので
丁度頃合いの時刻かと思い、ランタンを片手に、その場所に向かうと
キングⅡ世が開けられた扉の音に気付くと同時に
金色の星が零れたかのような驚いた瞳でお互いの視線が重なった
話を聞けばJr達に流星が見れるからと、この場所にこの時間に行くとおススメと言われ
丁度時間があったので来たとの事だった、あの兄弟が遠征で留守の時に一人でとは無防備に思いつつ剣を携えている姿に、お気を付け下さいとだけ伝え同時に私もJr達に勧められて来た
旨を伝えた
「……灼熱騎士は、どうして僕を好きになったの?」
「それを今聞くのかい?」
「今だからだよ」
沈黙がいずれは破られるだろうとは思っていたが、想像以上のストレートな聞き方に
僅かに返答に詰まった、戦いが終えた後に愛を伝えた、愛しく思うと告げた
それに対し、困惑と何故という瞳が常に存在している事は気づいていた
どうすれば伝わるのか、どうすればあの兄弟のように君の心にわずかにでも届くのかと
考えては、やはり無理なのかと思っている中
三つ子達に陛下への想いがばれた
何か言われるのかと覚悟をしたが、逆に応援すると援護射撃を受けることになり
私自身、今でも困惑しているし手助けは無用と言ったが、陛下相手に素直になれない灼熱騎士が
一人で嵐騎士と闇騎士に敵う訳ないよ!!!と手厳しい言葉を伝えられ、言葉に詰まった
あの子達は、さりげなく全力でサポートするからと、その場を走り去っていった
すぐに返事を返せなかったのが、駄目駄目過ぎたのは理解しているが
的確に痛いところを突かれたのは事実だが、素直になれないとは?と未だに分からないまま
あの子達のサポートは続いていた
「灼熱?」
「ああ、すまない少し考えていた……そうだな、君が」
「うん」
「普段、正しく王であろうとする君が好物を食べた時の綻んだ顔が好ましいと思った」
……間違えた、何を言っている事実だが美味しいものを食べている君の笑顔が好き
子供ではないのだから他の事を言えばいいだろう、穏やかなところや、信念のある行動や
…いやそれらは伝えてきた、そして全部ダメだった
「……陛下?」
「えーと、その、まさかそんな、シンプルな返答が返ってくるとは思わなくて
今顔を見ないでくれるかな?」
そして今目の前には片手で顔を隠しながら話す今まで見たことない君の姿に
手を伸ばし、隠された表情を暴いた
「っつ、灼熱」
「そこから、君の様々な表情を見てみたいと思った……そしてそれは王になる前、君が
皇子として出会ったころからの感情だと気付いた」
「わ、分かったから手を離して」
「君がそうやって私の事で顔を赤くしてくれてるのは初めて見た」
「僕も……そういう意味では灼熱騎士の笑顔、初めて見たよ」
綻んだ笑顔を向けられ、夜風に晒され続け冷え切った身体でキングⅡ世を抱きしめた
「本当に僕の事が好きなんだね……君は」
「そうだ、だから君への想いを疑うことだけはやめて欲しい」
「疑うとは違うんだけど……そうだね泣いてしまうくらいには好かれてるって初めて気づいた」
北極星から、一つ二つと星が落ちるように、温かな涙が一つ二つと流れる灼熱騎士の
背中に触れ、キングⅡ世は自分に向けられた柔らかな感情を一つ受け入れた